午前2時の幸福

smile×J


なんだかふやけたような頭でベッドの上にたたずんでいると、その気配に眼が覚めたのか隣で寝ていたJが上体を起こした。
「…どうしたんですか」
午後3時。夜はまだ起きていない。空気が寝ている。その中でばくばくと鳴る心臓が不釣り合いで、服越しの胸にぎゅうと手を押し当てた。
「嫌な夢を見た」
「どんな」
ああそういえば嫌な夢は他人に話せば現実にならないと聞く。…現実になるんだったか?(肝心な所を覚えていない)
「お前が死んだ」
自分が死んだ話をされているというのにJはふうん、とぞんざいな返事をする。
「良かったじゃないですか」
「は?」
「浮気とか冷めたとかそういうお別れじゃなくて。僕は君以外の誰のところにも行かなかったということです」
僕は君だけを愛してるってことですよ、とけだるそうに言ってJはまたぼふんとベッドに倒れ込んで寝てしまった。
「………」
そしたら俺はもしかしたらかなり幸せな奴なんではなかろうか。
とりあえず俺もJに倣って寝直すことにした。まだ起きるには時間は早いし、幸せな夢を見るために。


2006.08.26 - kibitaki/Kugi